大学生なら考えたい“休学制度の利用”

海外には、入試から入学までの期間などをあえて長く設定し一般的な大学生活の中では得ることのできない経験を得るギャップイヤー制度を推奨している大学が多く存在します。
大学を1年間休学し、5年間かけて大学を卒業することが、以前には「リスク」として捉えられた時代もありました。しかし、近年、日本でもギャップイヤー制度に注目が集まると共に、大学生活の前後・修学期間中に1年間程度大学を離れて自分の将来の方向性や価値観を高めることを目的とした「休学」に対する評価が変わりつつあります。

この、「自分の将来の方向性や価値観を高めることを目的」とした活動として、夏季休暇や春季休暇を利用して渡航していた短期留学では得られない経験を得るべく、約1年間腰を落ち着けて留学に挑戦する大学生の方が増えています。
これは、多くの人が挑戦する将来の就職活動においても大きな意味を持ちます。

-大学生活の集大成となる就職活動に備える

就職の選考で有利になる要素とは何だと思いますか?
実は、就職活動が始まる前に就職活動をスムーズに進められる状態か、難航してしまうかどうかは、すでに決まってしまうと言われています。それは、就職活動で問われることが、“社会で活躍する準備ができているか”、“募集する人の中で相対的に魅力があるか”、“職種に合わせた適性を満たしているか”の3点に絞られているからです。これらの評価ポイントは、一朝一夕で身につけられるものではなく、大学生活を通じて、就職活動が始まる前までに備えておかなければなりません。また、日本では新卒採用でしか採用枠がない職種や企業が存在しているため、大学卒業後の就職を決める新卒採用で最大の成果を出すことは、その後のキャリアを見据えた際に、極めて重要なことといえます。
新卒採用で最大の成果を出すために、4年間の一般的な大学生活で就職活動に臨むのではなく、海外で英語や異文化を学び、またビジネス経験を積む海外インターンシップ・プログラムに挑戦することで、その後の長い人生において大きな違いを生みます。

「早めの行動」こそ、休学留学のリスクを軽減させるカギ

大学を1年間休学することのリスクとして捉えられるのは、卒業までに通常の4年間+1年間の時間を要するということと、大学によっては休学時にも学費が生じる可能性があるという2点です。
時間に関しては、ギャップイヤー制度にも注目が集まる昨今、休学した時間を有意義に活用できていれば、決してリスクにはなりません。しかし、休学に伴う費用は、留学にかかる費用と併せて事前に準備を行う必要があります。
近年、国立大学では休学費用を課さない傾向にありますが、一部の私立大学では高額な休学費用がかかることがあります。休学を決める前に調べておくことが大切でしょう。
また、休学するタイミングも重要です。大学3年生からは、ゼミや研究室の所属が決まったり、日本の企業のインターンシップの応募が始まったりします。4年生を休学することが遅すぎるということではありませんが、3年生より前に休学留学をするほうが学事スケジュールとぶつからずスムーズに休学申請を行うことができます。
休学留学においては、“早めの行動”が将来の可能性を狭めず、リスクも低減させることができる唯一の処方箋となります。

休学留学でインターンシップ留学を決めた理由とは?

大学3年を休学している楠木 理子さんの例

名前:楠木 理子
学年:大学3年生
参加プログラム:ビジネスインターンシッププログラム
滞在都市:シドニー・オーストラリア
滞在期間:2016年4月〜2017年1月

私が休学しインターンシップ留学を決めた理由は、大学在学中に沢山の留学生や留学経験者に出会い刺激を受け、海外に関心や興味を持ち私も留学を経験してみたいと思ったからです。交換留学という選択もありましたが、私があえて休学を選んだ理由は、周りの人たちが経験した留学と自分の留学を差別化し、より価値のある留学、今後に必ず役立ちためになる、自分が成長できるオリジナルの留学をしたかったからです。

有難いことに、留学環境の整っている私の大学では、休学するための費用はとても安いので休学のリスクは低く、またリスクを気にすることなく休学をすることが出来ました。また、学年が上がるにつれてゼミや専門でも学ぶことが多くなる中で、二年生終了後の休学は、経験してみてベストタイミングであったと改めて思うことが出来ました。
その理由は、ある程度大学で専門的な知識を学べたこと、その専門的な知識を生かしてインターンで実践することができたこと、将来やりたいことが自分に合っているのかを確認できたこと、帰国後就活が始まるまでの間自分に足りないものやさらに学びたいことを勉強し就活に向けて準備することが出来るなど、数多くのプラスになることがあったからです。

私は仕事を実際に経験してみて、新たにやってみたい仕事が見つかりました。この仕事は、インターンシップの経験なしでは見つけられなかったと思います。また、インターンシップを経験しないで自分の最初のやりたかった仕事を選んで就職していたらきっと、理想の仕事とのミスマッチが起きてしまったのではないかと感じます。たった一年の留学ですが、休学でインターンシップ留学を経験したことで海外生活の経験や自己成長しただけでなく、長所や短所を再確認できました。また、改めて自分を知ることで今後の将来が定まり、明確なものになりました。迷うことなく、やりたいことをやりたいと思った時に有言実行したことでこの留学が私の中で人生のターニングポイントになりました。